手首の骨と靱帯に囲まれた手根管の中で正中神経が圧迫される絞扼性神経障害です。原因の多くは特発性で、妊娠・出産期や更年期の女性に好発します。手根管内の腱鞘炎や骨折後の変形、透析患者や糖尿病なども誘因となり、図のように腱の浮腫によって手根管内圧が上昇し正中神経が扁平化されます。
初期は示指・中指のしびれや痛みから始まり、進行すると親指〜環指橈側半分までしびれが広がります。症状は夜間〜明け方に強く、手を振ったり指を動かしたりすると軽減します。重症例では母指球筋が萎縮し、母指と示指で輪を作る(OKサイン)動作が困難になります。
手関節掌側を叩くと正中神経領域に放散痛が走るティネル徴候がみられます。手関節を最大屈曲して1分以内にしびれや痛みが増悪する場合はファレンテスト陽性です。母指球の筋力低下や筋萎縮の有無を確認し、評価します。
軽症では安静保持(シーネ固定)や消炎鎮痛薬・ビタミンB12の内服、手根管内へのステロイド注射など保存療法を行います。症状が強い場合や母指球筋の萎縮が進んだ場合には、手術で横手根靱帯を切開して正中神経の圧迫を解除します。小切開での手根管開放術が主流です。炎症が治まるまでの1~2か月は重い物を持つ作業や手首の激しい曲げ伸ばしを控えるよう指導します。
当デイケア(通所リハビリテーション)は送迎バスでの送り迎えで理学療法士や作業療法士による機能回復訓練を行う施設です。
食事や入浴と言った生活援助サービスを合わせて受ける事ができます。
・リハビリテーション科(完全予約制)
・森口義肢製作所(毎週火曜日)