膝屈曲角について
TKA後の膝屈曲角に影響を及ぼしている要因について
日常生活動作上で膝関節可動域は重要な意味を持っています。歩行時は約60°、椅子からの立ち上がりは最低100°、正座のときは140°以上の膝屈曲が必要で、TKA後は日常生活が不自由にならないようにある程度の関節可動域が得られていることが重要です。
TKA後の膝屈曲角に影響を及ぼしている要因は、大きく術前因子、術中因子、術後因子の3つに分けられます。ほとんどの報告者の意見が一致しているのは術前因子である術前可動域です。術前可動域が良い症例は術後可動域も良いと言われています。しかし、術前の可動域が100°未満では術後屈曲角は術前よりも増加するとの報告もあります。
われわれは、2007年に臨床整形外科に『人工膝関節置換術の術後関節可動域』2種類のインプラントデザイン間の比較として報告をしました。
その内容を抜粋しました。
近年、本邦ではTKAの術後可動域の改善に対する関心が高く、手術手技やインプラントデザインの改良が行われ、130°以上の深屈曲を達成できる症例が多くなってきている。TKAの術後屈曲角に影響を与える要因の一つとしてインプラントデザインがある。2種類の異なるインプラント、Kinemax plusと現在当院でしようしているScorpioを用いたTKAの術後屈曲角を検討した。
Kinemax plusを用いた群とScorpioを用いた群の術前、術後4週のエックス線で屈曲角を計測した。
屈曲角は後十字靭帯を温存したタイプ、後十字靭帯を切除するタイプとともに
Scorpioで有意に大きかった。Scorpioにおいて深屈曲は46%で達成されていた。
当院で使用しているScorpioのデザインの特徴は、矢状面でsingle A/P radiusで、冠状面ではsingle M/L radiusで大腿脛骨関節面の維持に重要と考えられます。
さらに屈曲に対して有利な回旋許容度がScopioでは25°あり、より低い回旋トルクで回旋するのでポリエチレンインサートにかかる負担が軽減され、屈曲角の増大に有用であると考えられます。
膝専門外来を中心にスポーツ外来、一般外来を診察をしてます。
正確な診断にもとづく治療に心がけています。
【 リウマチ科 / 整形外科 / リハビリテーション科】
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